木偶人形の茶番劇 第4話 港町にて待ち合わせ 場所はレンガ造りの倉庫前、時刻は正午を少し過ぎた頃。 SLWの権限で人払いしたらしく、観光客で賑わう普段とは打って変わり、周辺に人影はなく、しかし緊張に包まれていた。 末端の捜査員には、「とある事件の重要参考人」としか伝えられていないとい... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第3話 商談は突然に 高遠風音はその幼さの残る整った眉をひそめ、養父へ問い返した。「私を日本へ?」 無論、不服などあるはずがない。義父であり首領でもある李の命とあらば硝煙と血の臭いしかない戦場にだって赴こう。ただ、先の失態を鑑みれば、自分があの故郷というべき地... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第2話 白い悪魔の狂想曲 四条理仁は、ノアの箱舟という異能者集団と行動をともにしていた。ノアの箱舟は社会に溶け込むことのできなかった異能者たちの集まりで、メンバーの中にはSLWにより危険人物と認定されている者もいる。そうでないメンバーも、異能者を隔離し兵士に育て上... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第1話 コーヒーに映るのは すぐ隣で震える、歳上の、初めてのお友達を庇うために前に出た。けれどそれは、友情だなんて純粋で綺麗なものではなく、あの人に『理想のわたし』を見て欲しいという、なんとも自分本位でつまらない、見栄っぱりな理由からだった。 あの人にわたしを見て... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 プロローグ 喪失は一夜のうちに みんな、俺を知らないと言う。 山本も、村上も、怪訝な目をして俺を見ている。 美鈴も、エデンも、……たった一人を除いて、俺はクラスの誰の中にも居なくなっていた。「小野さん」 だから、助けを求めた。 俺から目を逸らしている彼女に。 いつだって... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ