木偶人形の茶番劇 第9話 人でなしたちの恋心 春の初めにハイスクールへ転入して、早半年。 季節は秋。一ヶ月後には文化祭が開催される、そんな時期。 SLWハイスクールにも文化祭というものはある、らしい。村上によれば、エレメンタリーからハイスクールまでの計十二学年総出で開催される。もちろ... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第8話 出立前夜の突破劇 妙なテンションの聖と興奮気味のアンジュの説明を要約するに、「個人的に進めていたSLWネットワークへの侵入が成功した」ということらしい。万能の天才と電脳精霊がタッグを組んだ犯罪史に残るファイアーウォール突破劇の恐ろしさを十兵衛少年は理解して... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第7話 非凡の蛇は紫煙の溜め息を吐く たかだか二十年の人生のうち十年以上を共に過ごした義妹は、たとえ何処へ行こうと聖にとって大切な家族であり仲間であり友人であり、そんな彼女に頼って貰えたなら多少の無茶くらい請け負う心積りはあったのだ。だというのに、箱舟に残ると言い出した桜は頑... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第6話 嫉妬は何色の目をした怪物か 暦の上では秋とはいえ、真昼の厳しい日差しは年頃の少女たちにとって大敵であり。 紫外線を避けて選んだベンチは、本来は三人の憩いの場だった。 ……数日前まで、は。「ほんっとに信じられないんだけど!」 ベンチにふんぞり返りながら、普段は通り過ぎ... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第5話 レディ・ハートという女 四条理仁がSLWへ収監された。当面の間、拘束される場所は日本支部内の研究施設の一室というし、小間使いも付いているというからまるで客人の扱いだ。しかし今後はSLWの厳重な監視下に置かれ、施設間の移送を除き外界に出ることはない取り決めであるか... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第4話 港町にて待ち合わせ 場所はレンガ造りの倉庫前、時刻は正午を少し過ぎた頃。 SLWの権限で人払いしたらしく、観光客で賑わう普段とは打って変わり、周辺に人影はなく、しかし緊張に包まれていた。 末端の捜査員には、「とある事件の重要参考人」としか伝えられていないとい... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第3話 商談は突然に 高遠風音はその幼さの残る整った眉をひそめ、養父へ問い返した。「私を日本へ?」 無論、不服などあるはずがない。義父であり首領でもある李の命とあらば硝煙と血の臭いしかない戦場にだって赴こう。ただ、先の失態を鑑みれば、自分があの故郷というべき地... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第2話 白い悪魔の狂想曲 四条理仁は、ノアの箱舟という異能者集団と行動をともにしていた。ノアの箱舟は社会に溶け込むことのできなかった異能者たちの集まりで、メンバーの中にはSLWにより危険人物と認定されている者もいる。そうでないメンバーも、異能者を隔離し兵士に育て上... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 第1話 コーヒーに映るのは すぐ隣で震える、歳上の、初めてのお友達を庇うために前に出た。けれどそれは、友情だなんて純粋で綺麗なものではなく、あの人に『理想のわたし』を見て欲しいという、なんとも自分本位でつまらない、見栄っぱりな理由からだった。 あの人にわたしを見て... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ
木偶人形の茶番劇 プロローグ 喪失は一夜のうちに みんな、俺を知らないと言う。 山本も、村上も、怪訝な目をして俺を見ている。 美鈴も、エデンも、……たった一人を除いて、俺はクラスの誰の中にも居なくなっていた。「小野さん」 だから、助けを求めた。 俺から目を逸らしている彼女に。 いつだって... 2020.05.20 木偶人形の茶番劇魔法使いの交響曲シリーズ